青のなかをもぐる

オノマトペだけで通じあえたらいいのにね

「忘れないからね」って

良いおじさんの前では、わたしも可愛くいられる。




小学生の頃、隣のクラスの女の子が転校していくとき、

「ねらかいなれすわ」

という手紙を残していって、3日くらい経ってようやく「あ、忘れないからねってことか」と気付いた事を思い出した。久しぶりに思い出した。

なんだかよくわからないが韓国語が話せて(おそらく両親が海外の方だったとかだろう)、聡明で体の柔らかい小さな女の子だった。いつもヘアーバンドをして。友達の友達、くらいの関係だったのだけれど、わたしはその頃から無意識の対抗心が強く、自分より頭の良い人が苦手だった。褒めればいいのか認めればいいのか戦えばいいのかわかんなくて。(あんまり考えないで、普通に喋ってればいいのにね。でも、今でもその普通を上手くこなせない)

ぼんやりと「ねらかいなれすわ」って呪文みたいとか、横書きなのにどうして右から書いたんだろう、とか思ってて気づかなかったんだけど、

「忘れないからね」って、すごい。自分が去っていくときに、その言葉を思いつけるだろうか。「元気でね」とか「仲良くしてくれてありがとう」とか、「忘れないでね」ならわかるのだけれど。小学生だからすんなり出てきた言葉なのだろうか。


こんなに心が震えるような言葉ではないのかもしれない。でも、「忘れないからね」って、一番嬉しいかも。大人になると、復讐心も混ざってるような気もしてしまう。あの頃だから使えた魔法の言葉なのかな。「ねらかいなれすわ」はちょっとしたおまじない。



今日も寒かったです。



忘れないで。