青のなかをもぐる

オノマトペだけで通じあえたらいいのにね

西加奈子さんの「白いしるし」

白いしるし (新潮文庫)

白いしるし (新潮文庫)



読書体験の中で得られる気持ちにはいろいろあって、たいていは「いいなぁ」とか「すごいなぁ」とか、「わたしこれではいかんなぁ」とか「わたしのほうがまだましかも」とかいろいろなんだけれど、
ときどき、共感と理想とかいろいろ入り混じりすぎて、「わたしこの人みたいになる気がする」って思うことがある。

とくにこの本を読んだ後は、入り込みすぎて「わたし、今はまだこのひとみたいになってない、だいじょうぶだった」って変に安心してしまった。そして疲れて眠った。昨日の午後3時。


本当に単なる感想なのだけれど。
白って、たくさんある色のなかで、一番現実的でないと思うから、それが手や指についている描写がものすごく印象深かった。そういうところもあってか「まじま」という人間は人らしくなくて(食べ物と間島についての視点とか、間島についての文章が人間らしさを感じさせなくなっていったのかも)、それはもう恋なんてものじゃないみたいで、でも確かに、はじめから、それは恋じゃなかったのかもしれない。けど惹かれているという状態って、恋くらいしか名づけようないじゃん。

単に恋愛のこと、としては読めなかったし、そういうことではないのだろう。そもそも、恋愛じたい、恋や愛とそれ以外からできているのかも。ていうかそう信じてしまうし。わからないから。



もう一日経ったので、本の中からは抜け出せて、自分のことばかり考えていた。(きのうは、抜け出せなかった。空想ばかりしている人間なの、恥ずかしくていやだ)
衝動任せにしか話せなくて、少しずつ前に進むのとかが苦手で。本当に誰がすきなのかわからない。「イチバン」なんてなくて、きっと自分のことより誰かのこと大事にしたりできない。ずっと誰かはだれかのままだ。そうやって愛を崇高なものにし続ける。手に入った途端に輝かなくなるなら、いらない、、って本気で思えたら楽なのに!ほしい、ほしすぎるもん。贋物はいやだから正規品がほしい。それだけの条件なのにね。「それだけ」って思っているけどその「それだけ」が邪魔なんだよ。



まぁ楽しく生きているし、いいやって、結局おもうのだけれど!